第59回F病院
(愛知県)
霊安室に響き渡るすすり泣きの声。
3階の窓から飛び降りを繰り返す女の霊。県内屈指の心霊スポットと噂される廃病院の真相とは?!
荒んだ陰の気が霊眼に突き刺さるのを感じました。そこは死者の霊気よりもなお暗く、重い空気が流れており、生ける人間たちの邪気が漂う場所でした。
- 所在地
- 愛知県豊田市折平町下屋敷
- 危険度ランク
- (華厳滝)B+ ★★★☆☆
今回は久々に建物系の心霊スポットを取り上げます。
場所は愛知県豊田市の市街から少し外れた山林地。当地に佇むとある廃病院の建物内およびその周辺部で、夜な夜な霊現象が起きるという噂が立ち始めたのは、昭和の終わりくらいからのようです。以来、肝試しを目的に多くの野次馬たちが不法侵入を繰り返したため、屋内はかなり荒れ果てているとのこと。
こうした間接的な書き方しかできないのは、この病院前の門扉が常に堅く施錠されており、建物はおろか敷地に入ることもできない状態だからです。もしそれを乗り越えて侵入すれば、言うまでもなく犯罪行為となります。実際、近隣の住人たちは違法に肝試しをする輩にかなり手を焼いているようで、一時は自主的にパトロールをしていたこともあったそうです。地元の警戒状態は今でも続いていて、付近に車を停めただけでナンバーを控えられ、警察に通報されることもあると聞きました。
ネットで検索すれば正式な病院名称や閉鎖された経緯などもある程度分かりますが、ここでは頭文字を取ってF病院とさせていただきます。この廃病院で起きるとされる心霊現象は以下の通りです。
- ① 3階建ての建物の最上階の窓から、いきなり人影が飛び降りてくる。が、驚いて着地地点に目を移すと誰もいない。その姿は血の気のない白い顔の女、あるいは子供など諸説あり。
- ② 建物内でとくに人がいる気配を強く感じる場所がある。そこは霊安室と3階にある1室で、それらの室内では誰かがすすり泣く声や家鳴り(ポルターガイスト現象のラップ音)が聞こえることも。
- ③ 落書きで汚された壁面に、人体から流れ出したばかりと思われる生々しい血痕が染み着いていることがある。
- ④ 以前、院内の廊下に散乱していたカルテを拾って持ち帰った者がいたが、その後、知らない番号からの着信があり、電話を取ると「勝手に持ってくな…」といううめき声が響いた。
じつは以前、名古屋方面への出張の帰りにこの現場を検証したことがあるのですが、法に触れない地点から内部を遠隔霊視してみても、上記のような超常現象の痕跡は一切確認することができませんでした。
亡者の霊がさまよう場所というよりも、生きている人間(過去の不法な侵入者たち)が残していった邪気殺気の想念がわだかまる、一種のダメージスポットであると感じました。仮に内部へ侵入したとしても念願の霊の姿を見ることはできず、代わりに運気や気力の低下という高い代償を払うことになるでしょう。
廃墟の建物が心霊スポット化するケースは全国の津々浦々で起きていますが、私の印象ではその多くがこのF病院と似たような感じです。わざわざそうした場所を訪れるのは、愚行以外の何者でもありません。