電話占いであった不思議な話 -霊能の世界-

第15回 黒松蝦夷 先生

好奇心で受けた鑑定で知らされた驚愕の事実。
私には生き別れの兄がいることが判明しました。

東京都大田区・久本朝香さん(仮名)38歳

生き別れの兄

先日、黒松蝦夷先生の鑑定を受けてみました。「黒松蝦夷先生の占いは恐ろしいほどよく当たる」とネットで噂になっていたので、占い好きの私は好奇心が湧いて、お電話しました。実際の鑑定でもまだこちらがお話していないようなことをズバズバと言い当てられて驚きの連続だったのですが、その時ひとつだけ「これは違うな」と思ったことがあったんです。それは「あなたには下に妹さんがひとり、あと上にお兄さんがいらっしゃいますね」というもの。下に妹がいるほうは合っていたのですが、私の上に兄はいません。ですので、その旨を先生にお伝えしたところ、「いえ、あなたにはお兄さんがいらっしゃいます」と言って聞きませんでした。私に関することは私が一番よく分かっているのに、この先生は一体どうしてそんなに断言するのだろう、と思いました。他の占い結果は当たっていたのに、その一点のみ、とても残念に思ったんです。その時は。

でも、その件について、後日、驚愕の事実が判明したんです。その鑑定からしばらく経って、先日、夏休みに実家に帰った時のこと。私の実家は北の方で、旦那の実家は関西なので、夏は避暑も兼ねて私の実家、冬は旦那の実家、というパターンが恒例となっています。今年の夏も、私と旦那、そして子供と一緒に車で東北の実家に行き、三泊四日の里帰りをしました。その最後の日の夜。旦那は翌日の運転があるので早めに就寝、実父と息子も床につき、私は久々に実母とふたりで親子水入らずの時間を過ごしていました。

そこでふいに先日の占いの件を思い出し、軽い感じで「お母さん、聞いてよ、この前占い師の人に見てもらったんだけど…」と、例の件を言ったのです。「私にお兄さんなんていないのにね」と笑いながら話すと、母の顔色がみるみる変わっていきました。そして「その占い師さんは間違ってないわ。あなたには兄がいるわよ」と言い出したんです。「え、嘘。だって私達は4人家族だったじゃない、兄なんていないわ」「いえ、いるの。これはあなたたち姉妹には話すつもりはなかったんだけど……あなたには兄がいるわ」そして母は三十数年間秘密にしてきた事実を話し始めました。

母は父と結婚する前に、別の男性と内縁関係にあったそうです。そしてその人との間に男の子がひとり出来たそうです。しかし、その男性とは色々あって破局。金銭的な問題もあり、その子は男性側が引き取って育てることになりました。そして、その後に知り合ったのが今の父。ふたりは結婚し、そして私と妹が生まれた、とのことでした。

「その人は今どこで何をしているの?」と私は尋ねました。母は「わからない。その人とはもう縁が切れているし、あの子も一体どこで何をしているのか私にはわからないの。ごめんなさい。こんなことあなたに話してもどうしようもないし、話すつもりはなかったのに……」そう言いながら、母は今にも泣きそうな顔をしていました。そんな母を見ていたら、私も何故か悲しい気持ちになってしまいました。

後日、私は兄の件が気になって、もう一度宜保鑑定事務所に電話し、黒松蝦夷先生の占い鑑定を受けました。「先日先生がおっしゃった私の兄の件、事実でした。今日は兄のことを視てもらいたくてお電話しました。兄は今どこで何をしているのかわかりますか?」そう告げると、先生は「数奇な運命です。あなたのお兄さんは現在、あなたのすぐ近くにいらっしゃいますよ」と言い、私達は既に知り合いだと言うのです。「あなたの御友人の男性が彼です。心当たりはありませんか?」と言われ、私は一瞬考え込みました。自分は専業主婦だし、男性の知り合いなんて……ひとりいました。独身時代から親交のある宗方さん。旦那とは職場内結婚だったんですけど、宗方さんはその会社でかつて同僚だった人です。彼も既に結婚していて、今では家族ぐるみの付き合いをしています。私はどちらかというと内向的で、旦那以外の男性と話すのも得意ではないのですが、その宗方さんは何故かとても気軽に話せて、昔から友人として好意を持っています。でも当時から恋愛感情は全くありませんでした。なんというか、本当に“お兄さん”って感じで……。

「その男性は、背が高くて、筋肉質で色黒、がっしりとした体型で、少し目が悪くて眼鏡をかけていらっしゃいますね。あとは……」先生は私の兄に相当する方の特徴を霊視で教えてくれて、それはまさしく宗方さんその人でした。確かに彼は家庭環境がちょっと複雑だったという話を聞いたことがあります。まさか彼が……。

後日、宗方さんとお話する機会があったので、思い切って親御さんの話を訊いてみました。すると、「俺は片親だったんだ。親父に育てられた。母のことは知らない。親父とその母にあたる人は内縁関係で、俺が小さい頃に別れたそうだよ」と話してくれたんです。私の中で全ての話が噛み合っていくのを感じました。私は自分の事実をお話しました。最近、私に兄がいることがわかったこと。それは母が結婚前に内縁関係の人との間に設けた子だったこと。宗方さんはとても驚いた顔をしていました。

「でも、偶然の一致かも知れないな」しばらく黙った後、宗方さんはそう話し出しました。「もし俺が本当に君の実兄だったとして、今さら君のお母さんの前に名乗り出たら、君の家はめちゃくちゃになるかもしれない。君のお父さんだって複雑な気持ちになるだろう。これは、これ以上掘らないほうがいい問題だ」宗方さんはそう言いました。自分はこのまま兄ではなく友人として生きていく、君も僕のことは友人として接して欲しい、とのことでした。宗方さんの言い分は最もでした。今さらそんなことを掘り返しても誰も得をしない。ましてや本人がそっとして欲しいと望んでいるのなら……。しかし、私は「知りたい」という気持ちを抑えきれませんでした。そして母に電話で訊いたのです。内縁関係にあった男性の苗字は何だったのかと。母は「宗方さんという方です」と答えてくれました。ああ、やっぱり……。黒松蝦夷先生の占い鑑定は完全に当たっていたのです。宗方さんは私の兄だったのです。

この事実は、私だけの心の中に秘めておくことにしました。母にも話せないし、宗方さんにも話せません。私だけの秘密にして、このまま誰にも話さずにいるつもりです。話さなくても、私はいま幸せだし、母とも宗方さんとも確かな縁で結ばれているわけですから。

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